代表者コラム

正しい境界は神のみぞ知る?

土地家屋調査士は、正しい境界と格闘する資格です。
僕らの示す境界は「筆界」といって登記上の境界を指すのですが、もしもその土地が昭和30年の分筆で登記された土地だったら、
「昭和30年当時の境界はどこだろう?」と探すわけです。昭和30年・・・私まだ生まれていません(笑)

以前読んだ境界鑑定の本に「正しい境界の位置は神のみぞ知る」と書いてありました。
本当の境界は誰にも分らない。でも、神のごとく、神様だったらどの位置を境界と指し示すだろう?
そんな気持ちで真摯に境界に挑みなさいということでしょうか。

土地家屋調査士は、境界の位置を定めるに当たって「公証」「物証」「人証」をもとにします。
公証とは、法務局や他の役所等に保管されている資料など。
「物証」とは現地の境界標や囲障などの測定結果。
人証とはそこに住んでいる人などの証言。
神のみぞ知る正しい境界をさまざまな証拠から導き出すことが測量の神髄です。
ちなみに北海道は土地の境界が官有地の払下げによりスタートしていることから、本州に比べ「公証」を特に重視します。
でも、役所の資料だって信ぴょう性がないこともあるし、現地の状態も矛盾が多く、人の言葉も鵜呑みにはできません。
じゃぁ、神のごとく境界を示すにはどうしたらよいのか?
測量実務者は隣接者との立会の際に、公証や物証をもとに自分たちで計算した位置を「正しい境界はこの位置です」と示すことがありますが、私は、自らが計算した位置を「正しい境界」と呼ぶことにいつも躊躇を覚えます。
本当の境界は神のみぞ知る・・・ですから。

共生では、隣接者との境界立会を特に大切にします。
公証や物証に基づいて計算した境界の位置は隣接者の同意を得て初めて「正しい境界」と呼べると思っています。
私は神の眼を持ってはいません。自分の計算を正しいと過信せず、隣接者が納得できるよう説明にすることが人として境界と真摯に向き合うことだと信じています。